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プロダクト戦略の策定

競争を超えて市場を創造する

優れたプロダクトは、単に機能が豊富なだけではありません。市場で独自の地位を築き、競合他社が容易に模倣できない強固な「戦略」を持っています。プロダクトマネジメントの基礎を理解した今、次のステップは、血みどろの競争が繰り広げられる「レッドオーシャン」から抜け出し、新たな市場を創造する方法を学ぶことです。

そのための強力な羅針盤となるのが、ブルーオーシャン戦略です。この戦略の核心は、競合に勝つことではなく、競合を無意味にすることにあります。それは「価値の革新(バリュー・イノベーション)」を通じて、顧客にとっての新しい価値を創造し、同時にコストを削減することで実現します。

ERRC:戦略を再構築する

価値の革新を実現するための具体的な行動フレームワークが「ERRC(Eliminate-Reduce-Raise-Create)グリッド」です。これは、業界の常識を疑い、自社のプロダクトが提供する価値を再定義するための4つの問いから成り立っています。

取り除く(Eliminate):業界で当たり前とされているが、顧客にとって本質的な価値のない要素は何か? ・減らす(Reduce):業界標準よりも大幅にレベルを落とすべき要素は何か? ・増やす(Raise):業界標準よりも大幅にレベルを上げるべき要素は何か? ・付け加える(Create):業界がこれまで提供してこなかった、全く新しい価値を持つ要素は何か?

このフレームワークを使うことで、他社との差別化と低コスト化を同時に追求できます。例えば、2006年に発売された任天堂のWiiを考えてみましょう。当時、ソニー(PlayStation 3)とマイクロソフト(Xbox 360)は、高性能なグラフィックや処理能力を競い合っていました。しかし、任天堂は全く異なるアプローチを取りました。

アクション任天堂 Wiiの戦略
取り除く高精細グラフィック、DVD再生機能
減らすCPU/GPUの処理能力、オンライン機能の複雑さ
増やす直感的な操作性、家族で楽しめる魅力
付け加えるモーションコントローラーによる体感型ゲームプレイ

この戦略により、Wiiは従来のゲームファンだけでなく、子供から高齢者まで、これまでゲームに興味のなかった新しい顧客層を開拓することに成功しました。これがブルーオーシャン戦略の力です。

戦略を可視化する

ERRCで導き出した戦略は、「戦略キャンバス」または「価値曲線」と呼ばれるツールで可視化できます。これは、横軸に業界が競争している重要な要素を、縦軸に各要素に対する投資レベル(提供価値の高さ)をプロットしたグラフです。

競合他社の価値曲線が似通っている場合、その市場はレッドオーシャン化している可能性が高いです。一方、自社の価値曲線が競合とはっきりと異なる形状を描いていれば、それは独自のポジションを築けている証拠です。Wiiの例を見てみましょう。

このグラフは、任天堂がいかに競争の軸をずらし、新しい価値を創造したかを明確に示しています。戦略キャンバスを作成することで、自社のポジショニングを客観的に評価し、事業目標とプロダクトの方向性を論理的に結びつけることができます。

持続的な優位性を築く7つの力

ブルーオーシャンを創造した後、その地位をどう維持すればよいのでしょうか?ここで役立つのが、ハミルトン・ヘルマーが提唱した「」フレームワークです。これは、企業が持続的な競合優位性を築くための7つの源泉を特定したものです。

パワー説明
1. 規模の経済生産量が増えるほど単位あたりのコストが低下する。Intel, Netflix
2. ネットワーク効果ユーザーが増えるほど、プロダクトやサービスの価値が高まる。Facebook, Visa
3. カウンター・ポジショニング新しいビジネスモデルが、既存企業の既存事業と利益相反を起こすため、既存企業が模倣できない。Vanguard, Airbnb
4. スイッチング・コスト顧客が競合製品に乗り換える際に、金銭的・時間的・心理的な負担が発生する。Microsoft Windows, Salesforce
5. ブランディング長年にわたる信頼の蓄積により、顧客が特定のブランドに対して高い価値を感じ、安心感から選択する。Coca-Cola, Tiffany & Co.
6. コーナー・リソース特定の重要な資産(特許、人材、許認可など)を独占的に保有している。製薬会社の特許, Pixarのクリエイティブチーム
7. プロセス・パワー組織の複雑な活動の中に組み込まれた、他社が模倣困難な独自のノウハウやプロセス。Toyota生産方式, Zaraのサプライチェーン

これらの「力」は、プロダクト戦略を策定する上で強力な武器となります。自社のプロダクトがどの「力」を活用できるか、あるいは将来的に構築できるかを考えることで、単なる機能開発に留まらない、持続可能なビジネスを設計できます。例えば、ネットワーク効果を狙うのであれば、初期段階ではユーザー数を増やすことが最優先課題となります。スイッチング・コストを高めたいのであれば、ユーザーのデータを蓄積し、パーソナライズされた体験を提供することが重要になるでしょう。

これらのフレームワークを駆使して戦略を練ることは、市場のタイミングを見極め、効果的な参入障壁を築き、最終的にプロダクトビジョンと事業戦略を強固に結びつけるための鍵となります。

Quiz Questions 1/5

ブルーオーシャン戦略の主な目的は何ですか?

Quiz Questions 2/5

任天堂Wiiの例において、ERRCフレームワークの「創造(Create)」に最も当てはまる要素はどれですか?